休筆中 近況報告スレ - 那々
2012/02/25 (Sat) 06:48:42
ここは、小説執筆期間外に生存報告がてら那々が駄弁るスレッドです!
例によって落書き投下もあり。

【簡易インデックス】
第二部第六章トップ絵の作画工程 1枚目>>137 2枚目>>138
第二部第五章トップ絵の作画工程 >>131
イメレス・酒を飲ませてみたところ >>127
第二部序章トップ絵の作画工程 >>118
読者様お題提供漫画~夏の盛り編~ 1P目>>115 2P目>>116 3P目>>119
死屍累々な三万ヒットお礼SS >>85
La sua〜表紙の作画工程 >>11

過去のお礼絵やSSは「La sua 用の独り言&落書きスレ」をご覧ください。埋もれてます。
三万ヒットお礼SS - 那々@携帯
2012/07/16 (Mon) 21:31:58
7月13日にLa sua〜が30000hit越えたので、そのお礼SSになります。
いつもありがとうございます!
キャラの外見描写を省きましたので、小説をラストまで読んでいる方推奨です。


―――以下本文―――


「夏と言えば何だ?」
「水着だな」
「ではここ、オアシスのそばでビーチバレー大会を開催する」
「何でだよ!?」
 お礼SSと称する集まりの場で挙がったライトさんの突然の提案に、エリオットさんが抗議に近い叫び声をあげた。
 しかし何でも何も無く、私達は現在全員水着姿で、砂浜ではなく単なる砂漠に完備されたネットを仰ぎ見ている。
 フォウさんでなくとも真っ黒に日焼けしてしまうような日差しは、オアシスのそばとは言えども十分熱く砂を焦がしていた。
「チーム分けは男女対抗になりますわ〜」
「ライトさんとレフトさんは水着じゃないですけど、参加しないんです?」
 こういったSS仕様の急展開にツッコむのは野暮ってものだと思った私は、兄の発言に補足をするレフトさんに別の疑問をぶつけてみる。
 すると彼女は着ている白い服を自分で指差しながら、
「私とお兄様は審判になります〜それらしい服でしょう〜」
「た、多分……」
 中立兄妹はどこへ行っても中立らしい。
 お揃いの水着一丁な男性陣は、エリオットさんの他にフォウさんとガイアさん、あとゴキブリが這っているくらいだ。
「俺をゴキブリ呼ばわりしていいのはルフィーナだけだ!」
「モノローグにツッコミ入れるのはやめてくださいよ」
「待ってクリス、アレはツッコミなの? 若干ボケが乗っかってる気がするんだけど」
 鬱陶しい夏の害虫と私との間に、ルフィーナさんが呆れ顔で言葉を挟む。更に彼女は、中性洗剤をネットの向こう側に居る男性陣へとぶち撒けていた。あ、フォウさんの目に入ってる。
 軽く惨事になっているあちら側はさておき、女性陣の面子は私とルフィーナさん、レイアさんにクラッサ。どうやら四対四で行うらしい。
 ビーチバレーを。
 小説で。
「レクチェさんも何か服装が違いますけど」
「男性陣に参加出来るようなキャラが少ないから私は応援なんだっ」
 と言って彼女は両手に持っていた黄色の毛玉みたいな物体を上げてポンポンと振って見せる。
 頼もしい応援に頬を緩ませていると、やや髪が泡立っているエリオットさんが私をじと目で見ながら網越しにぼやいてきた。
「服装が違うって言うならお前もだろ……女どもは皆ビキニなのに」
「む、確かにそうですね」
 私はと言うと一人だけあまり露出が無い、地味な紺色の水着なのだ。
 着心地は悪くないし気に留めていなかったが、その疑問にはライトさんが答えてくれる。
「クリスに着せたのはただのスク水だ。気にしないでいい」
「わかりました」
「気にしろ!!」
 そんなエリオットさんの怒声も何のその。
 意に介する様子もなく、次にライトさんがカメラのレンズを向けてきたので、私は笑顔でVサインを作った。
「先生ついにカメラ買ったんだ……」
「そう言えば前に欲しがってた気がするッスね」
 ライトさんの物欲事情を知る二人がしばらく眺める中、いっぱい撮って満足したらしいライトさんが軽く笛を吹き、皆が配置につく。
 適応っぷりにツッコんではいけない。皆、お礼SSだと分かっているのだから。
「ルールは簡単だ。ボールで相手を蹴散らして、最後まで残っていた側が勝利。特技使用も可、ただしあくまでボールを使え」
「ぶふっ」
 サーブを打とうとボールを持っていたレイアさんが吹き出した。
「な、どういう事だライト! 通常ルールじゃないのか!」
 その発言はもっともだと思うけれど、
「つべこべ言いやがらずに早く始めなさいな雌鳥が〜」
 相変わらず局所的に暴言を吐くレフトさんがレイアさんを突き飛ばして、有無を言わせない。
 しかもレイアさんの手からぽろっとボールが落ちたところで追い討ちが入る。
「ミスったな。男チームにサーブ権移行だ」
「何だと!?」
「今流行りのいじめですね中佐。見て見ぬふりさせて頂きます」
 私達の先攻が台無しになったというのにクラッサは何故か嬉しそうだ。
 表情をしかめたガイアさんが改めてサーブを打ち、しばらくは様子見のような攻防が続く。完全に普通のビーチバレー。
 それを最初に破ったのはエリオットさんだった。
 彼は急に仲間であるフィクサーの顔面を殴って、彼の血を彼自身に塗りたくり始める。
 その間人手が足りなくなっているうちに私はネットより少し上まで飛んで、狙い目であろうフォウさんにひたすらボールをキャッチアンドリリース。
「ちょっと! それじゃドッヂだよね!?」
 ガイアさんと共にあくまでバレーボールのスタイルで返してくるフォウさん。けれどやや高い位置から幾度も投げ落とされるボールは彼の少ない体力を削ぎ、ようやくその額に勢いよく命中した。
「目が、目がぁぁぁぁ!!」
 転げ回るフォウさん。
「よし!」
「クリスってやっぱり容赦無いわよねぇ」
 ルフィーナさんがぼやき、ガイアさんの顔の困った度がさっきよりも上昇した気がする。しかしそれ以上攻撃する前にエリオットさん達が戻ってきて、
「よし、行け!」
「……っ後で覚えてろ!!」
 鼻血まみれの見るに堪えないフィクサーがボールをネット際からちょん、と軽く返してきた。
 反応速度が早すぎるレイアさんが手首で受けようとするが、この時私もルフィーナさんもクラッサも、あえて動いていない。
「ぅわっ!?」
 ボールは、レイアさんの手首から跳ねること無く、彼女の腕をも道連れに思いっきり地に落ちる。
 手首に重しをのせられたような状態で、レイアさんは倒れたままそこから動けなくなった。
「こ、これはまさか……」
 そう、どう考えても魔術行使だ。彼の血がついたボールは、レイアさんが触れた途端に何らかの変化をしたと思われる。
「よし、ガンガン行こうぜ!」
 以降、フィクサーが返してきたボールは避けるしか無くなり、更にガイアさんが逃げる私達の足を止めようと魔術で画策し始めた。
 影縫いをかけられては他の仲間がそれを慌てて解き、ビーチバレーとは名ばかりの防戦が続く。
 何十個かボールが無駄にされた末、次に当たったのはクラッサ。
「鼻血で勝って嬉し、いで、す、か……」
「それを言うか!?」
 打ち所が悪く、のびてしまったクラッサだったが、最後に上司へ精神攻撃をして旅立つ。とどめは勿論ルフィーナさんだ。
「そんな汚いボール当てたら、ただじゃおかないわよ」
 悪鬼と見紛うような怖い顔で、その言葉は低く紡がれた。
 女性二人に汚物扱いされ、顔を覆って泣き出し使いものにならなくなるフィクサー。
 これはまさに、
「チャンスです!」
「いっちゃいなさいっ!」
 私がボールを投げ、そのボールを瞬時にルフィーナさんが凍らせてくれる。
 フィクサーの頭に当たったボールはパキャッと嫌な音を響かせて綺麗に割れ、ゴキブリ退治は終了した。
「やりましたー!」
「いつからドッヂになってんだコレ!?」
「王子が仲間割れしていた間ッス」
 エリオットさんの問いに答えつつもこちらの動きを封じようと、ナイフをさくさくと足元に投げつける手は緩めないガイアさん。
 直接攻撃に使っているわけでは無いからか、ライトさんの笛は鳴らない。同じ鳥人でもやはり確執があるのはレイアさんとだけのようである。
 ルフィーナさんもフォローしてくれていたのだが、エリオットさんも飛べる為に『上から投げつける』という一方的な攻めは出来なくなり、拮抗する試合。
 そして遂に彼の魔力でコーティングされたボールが、一撃でルフィーナさんを沈めてしまった。
「わぁぁん、ルフィーナぁぁぁ!!」
 レクチェさんがすぐ様駆け寄ったものの、
「白目剥いてる!!」
 当分起きそうに無さそうだ。
 にやにやと意地悪い笑みをこちらに向けつつ、エリオットさんは次のボールをレフトさんから受け取っている。
「ちゃんとビーチバレーしてりゃ勝てたかも知れねぇのによ」
「むぐぐぐ」
「ハンデだ、飛ばずに投げてやらぁ!」
 まだネットの高さくらいを維持して浮いたままの私に、エリオットさんの激硬ボールが飛んできた。
 一発なら避けられるかもしれない。しかし次にガイアさんの影縫いにかかったら、解いてくれる仲間はもう居ないわけで。
 長引いては最終的に負けると判断した私の決断は、
「オーバーヘッドシューーート!!!!」
「ドッヂですら無ぇ!!」
 キャッチするという間を置かずに即蹴り返されたボールは、エリオットさんの顔面を直撃して彼を撃墜することに成功する。
 だがその代償は高かった。
「痛ぁいぃぃぃぃぃぃ」
 あんな硬いボールを蹴った私の素足も無事ではなく、砂漠に落ち、足を抱えて悲鳴をあげる。
 まともに残っているのは……
「俺の勝ちッスかねぇ」
「いいんじゃないか、それで」
 ライトさんが審判台から降りて愛想無く答えた。
 そして彼は続ける。
「今日は全員から治療費請求するぞ」
「カメラを買ってお金が無くなりましたものね〜」
 気絶している皆を問答無用で治療し、ライトさんは違う意味で一人勝ちしたのだった。

―――完―――

いつもの地獄
薔薇「カメラの画像、地獄に送って貰うにはどうしたらいいの」
瀬尾「知りません」



※この世界のカメラは、アゾート剣による隠し撮り映像みたいな感じに記録するような物だと思われます。一般人が持つような価格では無いはず!
※スク水や中性洗剤は多分この世界に存在しません。ネタです。
  1. (投稿前に、内容をプレビューして確認できます)
  2.